「ガレージに薪ストーブを設置したいのだが?」とのご相談を受けました。
何はともあれ、現地を確認しに行ってみると・・・、
いわゆる”イナバガレージ”でした
但し、構造用合板で内装工事が施されています。
本来ならば0.8ミリの鋼板のみなので、内壁があることで随分断熱効果があります。
設置場所は、このコーナーご希望です
傾斜地に建つガレージの外観です
「100人乗っても大丈夫」な屋根の勾配は極々僅か。
煙突を屋根から出すには、雨漏りのリスクがとても高そうです
やはり、壁から出すしかないか!
しかし、取付部強度の確保が課題になります。
これから見積もりが完成するまで、約1ヶ月間の苦悩の日々が続くのでした
そしてアイディアが閃いたのです
世の中にある、色々なモノからインスピレーションを得ます。
今回は、スーパーカーのスペースフレーム構造がヒントになりました。
しかし、煙突を壁から出す際の、支持構造と取付方法が重要です。
検証のため実測図を基に直ぐにスケッチを起こし、そして模型を製作します!
先ずは、材料の切り出しと加工。
主な材料は、加工がし易い真鍮の丸棒です
半田を使い組み立て。
支柱部分が完成!
煙突は直径20ミリの塩ビパイプ、雨仕舞丸トップは直径30ミリの鉄のカーラー!
何だか楽しくなってきた
亜鉛スプレーで、ステンレスパイプの雰囲気を出します。
黒く塗装した煙突を組み合わせると完成です
ガレージ壁面に取り付けたイメージです。
今回は、支柱の製作と薪ストーブ本体・煙突資材と、その取り付け全ての
裏付けが取れての見積もり作成となります(模型だけなら簡単)。
お客様に、この模型と図面でプランをプレゼンテーションしたところ、
一発OKとなりました
さて、これから実施に入ります。
先ずは、材料の切り出しと加工。
主な材料はステンレス(SUS304)です。
溶接機を使い組み立て。
支柱が完成!
そして工事は、壁面のカットからスタートです
支柱の下部は、布基礎のブロックにアンカーボルトを貫通させ、そのせん断応力に
荷重を預けることにしました。
上部は構造の梁とボルト接合、更に中間部は下地材を挿入した壁を貫通ボルトで固定。
完璧です
何だか楽しくなってきた
支柱の取り付けが完了しました。
煙突を取付て・・・、
完成です
機能が形になりました!
少ない部材で強度を確保し、そしてセンス良く美しく!
ステンレスの光沢とマットブラックの煙突が、秋の青空に映えます
軽快で繊細なディティールも美しく、オーナー様も大満足です!
おっと、忘れていました!
薪ストーブは、ノルウェー製 ヨツール社のF305LLです。
珍しいホワイトエナメルです
設置が完了しました!
これまでは、冷え切ってしまう冬のガレージライフをエアコンや灯油ストーブで
我慢していたそうです
これからは、暖かい薪ストーブに火が灯ると、益々趣味にも熱が入りそうですね
さて、この広いガレージですが、オーナー様の趣味のモノで埋め尽くされていました。
了承を頂きましたのでご紹介致します。
こちらは、今も現役で使っているLPラジカセ!
何とLPレコードプレーヤーを搭載しています
左側上面にはカセットテープレコーダー
勿論ラジオも楽しめます
こちらは短波専用の受信機です。
当時、ソ連のラジオ局から、受信証明ハガキをもらったこともあるそうです
そしてこちらは、ラテカセ
ラジオにテープレコーダーにモノクロテレビが付いたモノです。
iPhoneよりも小さなブラウン管で観るテレビは、昭和を覗き見れそうです。
さて、こちらはフラッシャー付きのデッドストックの自転車です。
その自転車に取り付けるとカッコイイ、こちらもデッドストックのスピードメーターです。
小学生のころ、これにあこがれたものです
ここには、アナログからデジタルに移行する過渡期のアイテムが揃い、飽きることがありません。
そんな移行期の工業製品が他にもたくさんありました!
ドイツを始め、イタリア製のスポーツカーが・・・
特にフェラーリは他にも数台あるそうです
その中でも特に驚愕なモデルがありました。
わざわざ他のガレージから持ってきて頂きました。
と、言うのも、このスーパーカーがあるからこそ、支柱のデザインが閃いたのです!
フェラーリ テスタロッサ 1984年式の初期型です。
初期型はミラーが運転席側だけで、Aピラー中ほどの高さにあります。
不思議な感じがしますが、初期型だけの特別な装備です。
また、この初期モデルはアメリカの刑事ドラマ「マイアミバイス」で、ドン・ジョンソンが
演じるソニー・クロケッット刑事の愛車として有名です
80年代の深夜帯、リアルタイムで見ていました。
そう言う筆者も、実車は初めて見ました
ところで、ドアノブが見当たらないと思っていると、さりげなくオーナー様がドアを
開けてくれました。
ドアのエアーインテークフィンの上部にノブが隠されていました。
抜かりが無いデザインです
インテリアは、ノンパワステの5スピードギアが醸し出す漆黒の空間です。
僅かに、モノクロ液晶のデジタルパネルが時代の変化を告げています。
正に時代は、アナログからデジタルに移行する境目の時!
昭和の後半に生まれた、様々なアイテムを愛してやまないオーナー様でした