2021.11.02 機能が形となる時(長編注意です)
「ガレージに薪ストーブを設置したいのだが?」とのご相談を受けました。
何はともあれ、現地を確認しに行ってみると・・・、
いわゆる”イナバガレージ”でした![]()
但し、構造用合板で内装工事が施されています。
本来ならば0.8ミリの鋼板のみなので、内壁があることで随分断熱効果があります。
設置場所は、このコーナーご希望です![]()
傾斜地に建つガレージの外観です![]()
「100人乗っても大丈夫」な屋根の勾配は極々僅か。
煙突を屋根から出すには、雨漏りのリスクがとても高そうです![]()
やはり、壁から出すしかないか!
しかし、取付部強度の確保が課題になります。
これから見積もりが完成するまで、約1ヶ月間の苦悩の日々が続くのでした![]()
そしてアイディアが閃いたのです![]()
世の中にある、色々なモノからインスピレーションを得ます。
今回は、スーパーカーのスペースフレーム構造がヒントになりました。
しかし、煙突を壁から出す際の、支持構造と取付方法が重要です。
検証のため実測図を基に直ぐにスケッチを起こし、そして模型を製作します!
先ずは、材料の切り出しと加工。
主な材料は、加工がし易い真鍮の丸棒です![]()
半田を使い組み立て。
支柱部分が完成!
煙突は直径20ミリの塩ビパイプ、雨仕舞丸トップは直径30ミリの鉄のカーラー!
何だか楽しくなってきた![]()
亜鉛スプレーで、ステンレスパイプの雰囲気を出します。
黒く塗装した煙突を組み合わせると完成です![]()
ガレージ壁面に取り付けたイメージです。
今回は、支柱の製作と薪ストーブ本体・煙突資材と、その取り付け全ての
裏付けが取れての見積もり作成となります(模型だけなら簡単)。
お客様に、この模型と図面でプランをプレゼンテーションしたところ、
一発OKとなりました![]()
さて、これから実施に入ります。
先ずは、材料の切り出しと加工。
主な材料はステンレス(SUS304)です。
溶接機を使い組み立て。
支柱が完成!
そして工事は、壁面のカットからスタートです![]()
支柱の下部は、布基礎のブロックにアンカーボルトを貫通させ、そのせん断応力に
荷重を預けることにしました。
上部は構造の梁とボルト接合、更に中間部は下地材を挿入した壁を貫通ボルトで固定。
完璧です![]()
何だか楽しくなってきた![]()
支柱の取り付けが完了しました。
煙突を取付て・・・、
完成です![]()
機能が形になりました!
少ない部材で強度を確保し、そしてセンス良く美しく!
ステンレスの光沢とマットブラックの煙突が、秋の青空に映えます![]()
軽快で繊細なディティールも美しく、オーナー様も大満足です!
おっと、忘れていました!
薪ストーブは、ノルウェー製 ヨツール社のF305LLです。
珍しいホワイトエナメルです![]()
設置が完了しました!
これまでは、冷え切ってしまう冬のガレージライフをエアコンや灯油ストーブで
我慢していたそうです![]()
これからは、暖かい薪ストーブに火が灯ると、益々趣味にも熱が入りそうですね![]()
さて、この広いガレージですが、オーナー様の趣味のモノで埋め尽くされていました。
了承を頂きましたのでご紹介致します。
こちらは、今も現役で使っているLPラジカセ!
何とLPレコードプレーヤーを搭載しています![]()
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左側上面にはカセットテープレコーダー![]()
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勿論ラジオも楽しめます![]()
こちらは短波専用の受信機です。
当時、ソ連のラジオ局から、受信証明ハガキをもらったこともあるそうです![]()
そしてこちらは、ラテカセ![]()
ラジオにテープレコーダーにモノクロテレビが付いたモノです。
iPhoneよりも小さなブラウン管で観るテレビは、昭和を覗き見れそうです。
さて、こちらはフラッシャー付きのデッドストックの自転車です。
その自転車に取り付けるとカッコイイ、こちらもデッドストックのスピードメーターです。
小学生のころ、これにあこがれたものです![]()
ここには、アナログからデジタルに移行する過渡期のアイテムが揃い、飽きることがありません。
そんな移行期の工業製品が他にもたくさんありました!
ドイツを始め、イタリア製のスポーツカーが・・・![]()
特にフェラーリは他にも数台あるそうです![]()
その中でも特に驚愕なモデルがありました。
わざわざ他のガレージから持ってきて頂きました。
と、言うのも、このスーパーカーがあるからこそ、支柱のデザインが閃いたのです!
フェラーリ テスタロッサ 1984年式の初期型です。
初期型はミラーが運転席側だけで、Aピラー中ほどの高さにあります。
不思議な感じがしますが、初期型だけの特別な装備です。
また、この初期モデルはアメリカの刑事ドラマ「マイアミバイス」で、ドン・ジョンソンが
演じるソニー・クロケッット刑事の愛車として有名です![]()
80年代の深夜帯、リアルタイムで見ていました。
そう言う筆者も、実車は初めて見ました![]()
ところで、ドアノブが見当たらないと思っていると、さりげなくオーナー様がドアを
開けてくれました。
ドアのエアーインテークフィンの上部にノブが隠されていました。
抜かりが無いデザインです![]()
インテリアは、ノンパワステの5スピードギアが醸し出す漆黒の空間です。
僅かに、モノクロ液晶のデジタルパネルが時代の変化を告げています。
正に時代は、アナログからデジタルに移行する境目の時!
昭和の後半に生まれた、様々なアイテムを愛してやまないオーナー様でした![]()

































































































