寒波が到来し、九州も薪ストーブシーズンを迎えました
薪ストーブオーナーには嬉しい寒波ですが、いざ火を入れてみると・・・、
「何だか調子が悪い」、「うまく燃えない」、「メンテできますか」ets・・・。
そんなご相談がものすごく多くなりました。
例えば・・・、
こちらは、10年程前に弊社で施工した旧アンコール
メンテナンスは煙突掃除を含め、全てオーナー様が行っていました。
が、「スロートフードが落ちてきて(手前の2ヶ)元に戻らない」と、相談を受けました。
この様な場合は内部の他の部品も変形しています
正面のファイヤーバックにクラックが入り、広がっているため取り出せません
ジャッキでスペースを作り取り出します。
ダンパーの下部も、垂れ下がり変形しています。
これでは所定の位置に、スロートフードは絶対に納まりません。
セラミックファイヤーボックスも上部に大きな穴が空いていました
と、言う訳で新しいダンパーやファイヤーボックスを取り付け・・・、
ファイヤーバックとスロートフードも交換し、心臓部が全て新品となりました
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全体に塗装を施し、現地ヘビーメンテナンスが完了です
さて、何故この様な事になったのかですが、一言で言うと原因は薪にあります
乾燥が十分でない薪を、または丸太を無理やりに燃やしていたのです。
乾燥が不十分でも燃やそうとすれば何とか燃えます。
そのためには大量な空気が必要です。 焚き火と一緒です。
その結果、燃えなくてもよい鉄やステンレス等の金属まで、燃えたり変形してしまったのです
空気レバーをいつも全開にしている方は要注意ですよ!
さて、次もオーナーの間違った使い方で、内部構造を壊してしまった事例です。
こちらはヨツール F500です。
他社施工で、10年程使用しています。
天板を外し、ブランケットとバーミキュライト製の上部バッフルを取り外した状態です
二次エアーチューブが溶けてしまい、大きく損傷しています。
サイドバーンプレートも1/4程が焼失してしまっています
二次エアーチューブを交換するために、先ずは鋳物でできたチューブフレームを取り外します。
さて、これからが厄介です。
部品自体が焼失してるのに、ネジやボルトが大丈夫なはずがありません。
特殊なボルトですが、純製部品を予め用意しているので思い切って分解します。
奥は差し込みなので、分解するのは手前だけです。
新しいチューブを組み付け、本体に取り付けるとF500の心臓部が蘇りました
錆を落とし全体を塗装して、現地ヘビーメンテナンスが完了です
さて、何故この様になったのかですが、理由は先程のアンコールと同じで、
乾燥が不十分な薪(こちらは大割り又は丸太)を無理に燃やしたからです。
大量に空気を送って薪を燃やすので、炉内で熱酸化が起き、鉄やステンレスが燃焼して
しまいました。
この様なトラブルを防ぐには、男性の腕の太さ位(7~8センチ)まで割り、よく乾燥した
(含水率15%位)薪を燃すことに尽きます。
それだけで薪ストーブの寿命を大きく伸ばすことができるのです。
手持ちの薪の乾燥が足りないなと感じたら、思い切って来年まで乾燥させましょう。
適切な乾燥薪は、薪ストーブに素晴らしいパフォーマンスを与えてくれます。