2011.03.06 炎と陽の光
築115年の古民家で全工事(煙突の施工とストーブの設置)を行いました。
この辺に煙突が出てくるはずです!?
もちろん、レーザーで正確に墨出しを行います。
それにしても立派な棟瓦です
瓦をめくると、瓦止めの粘土、杉皮と竹の野地が出てきました。
大変手が込んだ造りで、竹は垂木に蔓(つる)で編んであり、粘土は厚いところで6cm程もあります。
屋根には十分な断熱性能があることが伺えます。
煙突囲いができました。
小屋裏に防火区画を設けるのが目的です。
この後、断熱二重煙突の位置やレベルを決めて行きます。
固定した煙突に、アルミインナーフラッシング、そして和瓦と相性がいい鉛フラッシングをかぶせます。
二重の止水対策ですね
アルミフラッシングの裏面には断熱材を貼ってあり、結露を防止します。
瓦の復旧が終わり、雨仕舞いが完了です。
あまりにも棟が大きいため、6インチの断熱二重煙突が小さく見えます
部屋内の断熱二重煙突も接続が完了です
ストーブの真上は畳部屋があるため、梁や棟を避ける位置まで煙突をオフセットしました。
そしてその日の午後、無事に火入れ式を行う事ができました
ご主人が待ち望んでいた瞬間です!
薪ストーブは、ベルギーの ドブレ760CB 熱効率が高い大型の薪ストーブです。
このメーカー 造形が大変丁寧で、高品位の鋳物ストーブを作りだしています。
その存在は、古い木戸や石の間に良く合っています。
谷崎潤一郎が「陰影礼賛」に記していました、「日本建築は、部屋の奥に入るにしたがって外光が減衰してゆく
光の演出に魅力があり、またそれは日本人の美学に馴染むものである」 と。
玄関より差し込む陽光が、土間に美しい陰と影を作り出しています。
そしてこの度「炎の光」が加わりました
感性豊かな若いご夫婦が住まわれるこの古民家を、末永く照らして行く事と思います。