2017.11.19 ヘビーメンテナンス
寒波が到来し、九州も薪ストーブシーズンを迎えました
薪ストーブオーナーには嬉しい寒波ですが、いざ火を入れてみると・・・、
「何だか調子が悪い」、「うまく燃えない」、「メンテできますか」ets・・・。
そんなご相談がものすごく多くなりました。
例えば・・・、
こちらは、10年程前に弊社で施工した旧アンコール
メンテナンスは煙突掃除を含め、全てオーナー様が行っていました。
が、「スロートフードが落ちてきて(手前の2ヶ)元に戻らない」と、相談を受けました。
この様な場合は内部の他の部品も変形しています
正面のファイヤーバックにクラックが入り、広がっているため取り出せません
ジャッキでスペースを作り取り出します。
ダンパーの下部も、垂れ下がり変形しています。
これでは所定の位置に、スロートフードは絶対に納まりません。
セラミックファイヤーボックスも上部に大きな穴が空いていました
と、言う訳で新しいダンパーやファイヤーボックスを取り付け・・・、
ファイヤーバックとスロートフードも交換し、心臓部が全て新品となりました
全体に塗装を施し、現地ヘビーメンテナンスが完了です
さて、何故この様な事になったのかですが、一言で言うと原因は薪にあります
乾燥が十分でない薪を、または丸太を無理やりに燃やしていたのです。
乾燥が不十分でも燃やそうとすれば何とか燃えます。
そのためには大量な空気が必要です。 焚き火と一緒です。
その結果、燃えなくてもよい鉄やステンレス等の金属まで、燃えたり変形してしまったのです
空気レバーをいつも全開にしている方は要注意ですよ!
さて、次もオーナーの間違った使い方で、内部構造を壊してしまった事例です。
こちらはヨツール F500です。
他社施工で、10年程使用しています。
天板を外し、ブランケットとバーミキュライト製の上部バッフルを取り外した状態です
二次エアーチューブが溶けてしまい、大きく損傷しています。
サイドバーンプレートも1/4程が焼失してしまっています
二次エアーチューブを交換するために、先ずは鋳物でできたチューブフレームを取り外します。
さて、これからが厄介です。
部品自体が焼失してるのに、ネジやボルトが大丈夫なはずがありません。
特殊なボルトですが、純製部品を予め用意しているので思い切って分解します。
奥は差し込みなので、分解するのは手前だけです。
新しいチューブを組み付け、本体に取り付けるとF500の心臓部が蘇りました
錆を落とし全体を塗装して、現地ヘビーメンテナンスが完了です
さて、何故この様になったのかですが、理由は先程のアンコールと同じで、
乾燥が不十分な薪(こちらは大割り又は丸太)を無理に燃やしたからです。
大量に空気を送って薪を燃やすので、炉内で熱酸化が起き、鉄やステンレスが燃焼して
しまいました。
この様なトラブルを防ぐには、男性の腕の太さ位(7~8センチ)まで割り、よく乾燥した
(含水率15%位)薪を燃すことに尽きます。
それだけで薪ストーブの寿命を大きく伸ばすことができるのです。
手持ちの薪の乾燥が足りないなと感じたら、思い切って来年まで乾燥させましょう。
適切な乾燥薪は、薪ストーブに素晴らしいパフォーマンスを与えてくれます。